《罪深きはこの官僚 》日下部 聡 内閣審議官(内閣官房国家戦略室)
「電力不足」で国民不安を煽る策謀家
2012年3月号
四月末には全国の原子力発電所が稼働を停止する見通しの中、夏場の電力不足の懸念を回避すべく、原発再稼働に向けた論議が大詰めを迎えている。福島第一原発事故を経ても、産業界をはじめ、広く一般にも原発再稼働への期待が根強い背景には、電力不足への拭えぬ不安がある。昨年発表された、「今夏の電力需給は約一割の不足」という政府試算も、その不安を改めて喚起するに十分なインパクトを発揮した。だがこれは後に、手心が加えられた「疑惑」の試算であったことが判明している。意図的な試算結果をメディアに流布し、「原発再稼働」への世論誘導を図ったのが、国家戦略室の日下部聡・内閣審議官だ。電力不足に対する国民の不安をいたずらに煽ったばかりか、国のエネルギー論議を歪めた責任は極めて重い。
経済産業省から出向していた日下部は、国家戦略室で“古巣”の省益実現に励んだ。その奮闘ぶりは、同じ国家戦略室で作成されながら公表に至らなかった“幻の試算&rd・・・