《政界スキャン》
「国のこと」を考える秋
2012年3月号
あと十日で東日本大震災から満一年である。この間、日本の国民は各種メディアが送り出すおびただしい量の情報洪水に溺れてしまいそうな日々を過ごしたのだった。それはいまも続いている。
大震災によって、日本はどう変わったのか。あるいはどう変わるべきなのか。
印象に残るいくつかの発言の一つは、元米国務長官、ヘンリー・キッシンジャー博士(八十八歳)の言葉だ。昨年十一月十五日夜、キ博士は日本の民放テレビに出演し、東日本大震災の前と後で何が変わったかと問われて、
「日本のみなさんは深く国のことを考えるようになった」
と答えた。「国のこと」とは、国のあり方、国の運命といったことだろうか。日本人は敗戦から六十六年余、国の行く末についてつきつめて考えることもなく、一国繁栄主義の道をひた走ってきたが、大震災ショックによってやっと覚醒したのではないか、とキ博士に皮肉られているようにも聞こえた。
とに・・・