三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

政治

空騒ぎの「橋下政局」

政治劣化が生んだ「あだ花」

2012年3月号

「解散風」がピタッと止まった。  二月下旬、自民党幹部が漏らした言葉に実感がこもっていた。なぜ解散風は止んだのか――。野田の求心力低下と「橋下旋風」が絡み合った結果というのが永田町の最大公約数と言っていい。二月中旬以降に実施された各メディアの世論調査の内閣支持率は読売三〇%、産経二六・四%、共同通信二九%など軒並み三〇%以下となった。「首相の解散権を担保するには最低四〇%は必要」(官房長官経験者)とされる経験則に照らせば野田の野望は夢のまた夢になりつつある。

メディアが人気の「増幅装置」

 野田失速の契機は一月十三日に断行した内閣改造にあった。野田はこの改造をテコに政権を立て直し、消費増税を一気に実現する腹だった。ところが皮肉にも改造が逆に政権の体力を奪ってしまったのである。防衛相への田中直紀の起用がその象徴だ。野田は前防衛相一川保夫に続き再び同じ轍を踏んだ。  田中の委員会答弁のお粗末さは目を覆いたくなる。防衛省は田中の答弁に備え複数のサポーターを国会に送り込み、入念な大臣レクを繰り返す。直紀対策に忙殺されているといっても過言ではな・・・