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政治

「フィクサー」が払底した永田町

右肩下がり時代の現象か

2012年3月号

「陰で仲介・調停することで報酬を受ける黒幕的人物」  広辞苑によれば「フィクサー」の定義は至ってシンプルだ。永田町周辺に隠然と存在し、時に政治を動かしたフィクサーの存在は、五五年体制の下では必要悪とされてきた。しかし、特にここ最近、大物、小物を問わず永田町からそうした人物の影が完全に消えた。

「カネ・人脈・情報」

「陰で動く」「政治を動かす」といって思い浮かぶ唯一の人物は、読売新聞グループ本社会長の渡邉恒雄だろう。戦後を代表する大物フィクサー、故・児玉誉士夫と接点のあった渡邉は、絶滅危惧種の生き残りのようなものだ。しかし、二〇〇七年に自民、民主両党の大連立構想を仕掛けて以降、調停役としての目立った動きは見られなくなっている。  二月十九日、首相官邸近くのホテルで提言機関「日本アカデメイア」が発足した。企業経営者や学者が参加し、今後三年間で次世代リーダー育成を目指すという。首相野田佳彦は休日にもかかわらず発足式に駆けつけ、「三年と言わず、できるところからやりましょう。緊張感と危機感と大きな志で事に当たりたい」と挨拶した。  アカデ・・・