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フランス「国家丸抱え経済」の限界

「政権交代」すれば危機は加速

2012年3月号

四月二十二日に第一回投票を迎えるフランスの大統領選で、野党社会党のフランソワ・オランド候補が、現職のニコラ・サルコジ大統領を決選投票(五月六日)で破り、十七年ぶりの政権交代を実現しそうな情勢だ。社会党は、現状でも強すぎる経済への国家介入を、一段と強めると公約しており、ユーロ圏第二の経済大国の混迷は、いよいよ深まる見通しである。

国策企業の支援コストは膨大

 二月中旬、大統領選の論戦が過熱する中、パリ郊外の産業地帯オルネス=ボワで、自動車産業の海外流出に抗議する労働者の集会があった。労働総同盟(CGT)や社会党に加え、極左の連帯・統一・民主労組(SUD)も活動家を送り込んだ。会場では「資本主義打倒」が嬉々として叫ばれ、一九六〇年代にタイムスリップしたような空気を醸し出した。 「ルノー社がモロッコに工場を移転して、低価格車で巻き返そうと計画しているのに反対しているのです。与野党とも、『ゴーン社長は裏切り者』と計画を阻止する構えです」と在仏記者が言う。  他の先進諸国で容赦なく進む「雇用の海外移転」は、フランスでは難事業だ。ルノーは二〇〇九・・・