《日本のサンクチュアリ》子どもたちの被曝
行政の無能で拡大する「人災」
2012年2月号
東京電力福島第一原子力発電所の事故によって、人々はいったいどれほどの被曝をしたのか。一月、福島県の新築マンションで高濃度セシウムを含む建築材料が用いられたことが判明、住民にも影響が出ていると報道された。次々と明らかになる被曝の実態。国や専門家は「今すぐ健康に影響はない」「この程度なら大丈夫」と繰り返す。被曝をめぐる「安心神話」が作られつつある中、医療者たちが真剣に危惧するのは、子どもたちの被曝と将来の健康被害だ。
事故直後、大量の放射性物質が周辺に拡散したことは周知の通り。汚染の度合いは、範囲こそ及ばないものの、地域によってはチェルノブイリと同レベルとされる。仮に、子どもたちの甲状腺に深刻な影響を与えるヨウ素一三一にも同程度で汚染されたとしよう。被曝した子どもたちには、今すぐにでも手厚い健康チェックと甲状腺検査が必要なのは、論を俟たない。だが現地で活動する医師は「事態は刻々と悪化しているのに、対応は遅々として進んでいない」と嘆く。
必要な数の検査機器が揃わない。専門技師を増やそうとすれば、理不尽な横槍が入る。行政の専横と予算の?奪・・・