なぜ「安藤忠雄」をもてはやすのか
権力に接近する「建築タレント」
2012年2月号
建築家・安藤忠雄氏は、相変わらず各方面から引っ張りだこのようだ。三月の震災発生後には首相の諮問機関として設置された「東日本大震災復興構想会議」の議長代理になった。新聞などにたびたび登場し、日本の将来について話す。本誌が既に指摘した通り、建築家としての安藤忠雄氏については悪評がついて回る。それでもなお彼を崇める人間は、いるのだ。
「公共的な建築物で、これだけの害悪を社会に振り撒いている安藤氏をありがたがるメディアの責任もある」
大阪市で設計事務所を開設している小角亨氏はこう語る。同氏は大手設計事務所の日建設計で大阪事務所長を務めた人物だ。日本銀行大阪支店や大阪市庁舎、成田空港の設計に携った。安藤氏が初期に中心的に手がけた住宅では、設計に問題があっても個人の問題だったが、徐々に大きな事業を請け負うようになって、社会に悪影響を及ぼすようになったという。小角氏は安藤氏を「建築家ではなく建築タレント」と評する。