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社会・文化

雪の森と動物たちの祭

厳冬期北海道の神秘

2012年2月号

 すべてのものを白く塗り込めた猛吹雪が明けると、雪の森は一転して鮮やかなコントラストに彩られる。北国の青空に冬枯れの木々がくっきりとそそり立ち、残された枯葉までが軽やかに揺れる。  木の幹の風上側には、雪が白い筋になってへばりつき、森の奥深くまで、白黒の縦じまが連なる。この冬は、とりわけ寒さが厳しく、雪も深い。  突然、白い吹雪が舞う。雪の重さに耐えかねたか、日差しで凍結が緩んだか、雪をたっぷりと載せた枝が身震いし、粉雪を振り落としたのだ。雪が滑り落ちる、さらららという音。音ではないような、かそかな音。一瞬のうちに濃密な氷の粒があたりを覆い、しばし白い幕を広げる。朝の斜光がそのスクリーンを貫き、厳寒に耐える木々を浮かび上がらせる。数秒後、何事もなかったように幕は消え、森は元の姿に戻る。  細長い日本列島。九州でも雪は降るが、氷の結晶がそのまま舞い降りるような「粉雪」は信州、東北の高地や北海道でないとなかなか見られない。北海道でさえも、こうした粉雪が結晶の形をとどめていられるのは、氷点下十五度以下の、本当の厳寒期だけだ。  粉雪が積もった雪面は、平らではない。小さな結・・・