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連載

日本の科学アラカルト18

生命の謎に迫る「人工細胞」研究の着実な進歩

2012年2月号

 回復不能になった、もしくは失われた人体の一部を復元する。これは、人類が古くから取り組んできた、医学における重要なテーマの一つだ。


 原始的でありながら、現在でも用いられるのは工業的な手法、部品で作成された代替品で補うことである。義足や義手、人工骨・関節などだ。形状を維持することを主目的とする器官においては、機能的には劣るのはもちろんだが、一定の実用性を持っている。

 これが内臓といった器官になるとハードルはとたんに上がる。たとえば人工心臓の研究は長年続けられているが、現時点でも完全に実現したとは言えない。一部、人工神経や人工内耳などを除き、本格的な臓器を工業的に作るのは困難を伴う。

 当然有望なのは生物学的な代替品作成だが、こちらも様々なハードルがあるのは周知の通り。技術的には有望な胚性幹細胞(ES細胞)は、一つの生命体である「胚盤胞」を使うことが倫理上のネックだった。その点をクリアするのが、・・・