孫正義の「対KDDI戦略」
狙いは新周波数からの「排除」
2012年2月号
iPhoneにもっと「つながり」を―。年明けからKDDIが流し始めたテレビCMが話題だ。iPhoneを持った若者が屋久島の人里離れた民家や渋谷の地下のライブハウス、北九州の鍾乳洞の中などからつぎつぎと電話をかける。「え、つながるの?」「うーん、つながってるねぇ」。若者からは驚きの声。「あたらしい自由。au」というキャッチフレーズが最後を締めくくる。
「あからさまでセンスが悪い」と吐き捨てるのはソフトバンクモバイルのある幹部だ。同幹部が言うとおり、KDDIのCMはソフトバンクのiPhoneが「つながらない」ことを揶揄している。おそらく屋久島も渋谷の地下も鍾乳洞もソフトバンクが「圏外」であることを調査した上で撮影したとみられる。
KDDIの田中孝司社長は一月十六日には、光回線や提携するCATVなどブロードバンドを一緒に契約すればスマートフォンの月額料金を割り引くなどのサービスを打ち出した。自前のブロードバンド回線をほとんど持っていないソフトバンクには真似のできないサービス。露骨なソフトバンクつぶしと言ってもいい。
だがこれに対し、ソフトバンクの孫正義社長は並々ならぬ・・・