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経済

「ドル箱」北米市場で沈むトヨタ

「主戦場」で苦戦

2012年2月号

 世界の自動車産業を牽引してきた中国、インドをはじめとする新興国市場が息切れを見せ始めるなか、二〇一二年は米国市場に期待が集まっている。ハイブリッド車や電気自動車などのエコカー市場がいよいよ立ち上がりつつあるのに加え、大統領選に伴う景気・雇用対策の強化を見越して、再び自動車メーカー各社の「主戦場」として位置づけられつつあるのだ。こうした市場の追い風のなか、米ビッグスリーの復活と韓国・現代自動車の躍進に挟撃される形で、ひとり低迷を続けているのが、ほかならぬトヨタ自動車だ。〇八年のリーマン・ショックまでは米国で荒稼ぎをしていたトヨタがなぜ回復から取り残されているのか。

消費者に広がる「トヨタ離れ」

「一二年は米国市場が台風の目になる」と、自動車メーカー各社の経営トップは口を揃える。米自動車市場に詳しい調査会社リサーチャーは「一一年の米国新車販売実績は一千二百七十七万七千九百三十九台で、前年比一〇・三%増と二年連続で前年を上回った。一二年には少なくとも一千四百万台は突破する」と予想する。  一方、一一年の中国新車販売は前年比でわずか二・五%と、十三年ぶりの低い・・・