みずほの終わりなき派閥抗争
新人事がグループ統合の障害に
2012年2月号
「細部の人選まではとやかく言わない。ただ『数運営』を続けることだけは絶対に許さない」。畑中龍太郎長官以下金融庁幹部は、佐藤康博社長(兼みずほコーポレート銀行=CB頭取)らみずほフィナンシャルグループ(FG)首脳陣に、しきりとこうクギを刺していたという。
数運営と率運営――。この聞き慣れない、奇妙な用語こそがグループ発足以来、みずほの人事政策の「根幹を成してきた」(FG幹部)とされている。何のことはない。各年の昇格者を決定するに当たり、若手・中堅行員に関しては旧三行ごとの行員数を母数とし、これに一定の比率を乗じて弾き出す。これが率運営。それに対し、参与や執行役員以上の幹部・首脳級人事については、旧三行人員のそれぞれの母数の差にかかわらず、ポスト配分をほぼ同数に保つ。これが数運営だが、金融庁はこの数運営こそが長年にわたるみずほの企業統治不在と行内不和を招いた、まさに「諸悪の根源」(事情通)とみなしていたわけだ。
そんな金融庁の実質管理下と監視下で一月下旬、初めて行われた四月一日付の常務級役員人事は、確かに数運営には風穴を開けたものの、「新たな軋轢と抗争の火種を随所に撒き散ら・・・