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経済

野村證券「買収劇」が新展開

政投銀登場の陰に財務省の思惑

2012年2月号

 まさに落日である。本誌二〇一一年十月号が他紙誌に先駆けて報じた通り、かつてガリバー証券とすら評された野村證券グループが資本市場から過酷な判定を浴びている。予想通り、救済合併の情報が駆け巡る展開になっている。  その野村ホールディングスの二〇一一年度第3四半期決算発表は二月一日に予定されているが、本誌は再び、野村證券グループを巡る衝撃的な新局面を紹介したい。  野村は昨年末、マーケットに打たれる中で、約一千五百億円もの劣後債を個人向けに販売し、資本増強を図っている。苦境の一時的な脱出策といえるが、その後の株価推移を見る限り、市場の評価は一向に改善していない。いまだ株式市場では、今後の成り行きを見守るように、野村の株価は二百円台で低空飛行を続けている。   そうした情勢下で浮上したのが「野村合併説」であり、「本命は三菱UFJフィナンシャル・グループ、対抗馬に三井住友フィナンシャルグループ」というのが大方の見方なのだが、本誌が今回指摘するのは、ここにきて水面下で蠢きだした新たな展開だ。その主役は、政策金融の一端を担っている日本政策投資銀行(政投銀)なのである。

野村分割の「ウルトラC」

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