「中国とインドが手を握れば素晴らしい未来が待っている」 　定例の印中国境問題に関する代表者会の前に、戴秉国国務委員がインド紙「ザ・ヒンドゥー」に寄稿したものだ。最近の印中関係の緊張感を和らげる意図があるものだが、繰り返される白々しい発言にインド政府は不信感を募らせ始めている。 　インドの対中貿易赤字は二〇一〇年度の二百三十九億ドルから今年度四百億ドル超まで急拡大する見通しとなっており、貿易不均衡が安全保障上の懸念にまでなりつつある。「欧州経済の失速」「米国との経済摩擦」によって輸出が減少するなかで、行き場を失った中国の廉価品は、いよいよ巨大な濁流となって代替市場インドを襲い、呑み込もうとしている。 「インド人ビジネスマンは義烏市でのビジネスを控えるように」 　在中国インド大使館が一月三日、自国民に対しこう勧告を出した。「中国人ビジネスマンによる不当な扱いを受ける可能性があります」「法的措置による救済は保障できません」。中国側へ当て付けた露骨な文面が並び、インド側の怒りが滲みでている。異例な勧告の元となった事件、その舞台は中国浙江省中部にある義烏市。説明不要の「世・・・