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マレーシアにも「バブル崩壊」の兆し

中国経済減速が引き金に

2012年2月号

 マレーシアの首都クアラルンプール(KL)市内は近年、交通量が増え、タイのバンコク、インドネシアのジャカルタのような酷い渋滞都市の様相を見せ始めている。好調な経済を背景とした自動車販売台数増加に加え、市内各所で続く開発、建設工事による交通規制が拍車をかけているのだ。  槌音が高く響く建設ブームを誘発しているのがキャピタルゲインを狙った海外からの投資マネーの流入だ。そして、特に中国系ファンドの不動産取得がここ数年、都市部における不動産価格や地価の高騰を招いている。

不動産に向かう中国マネー

 住宅全体の価格上昇率は年三%程度であり、インフレ率(三・二%、二〇一一年)と同程度だ。しかし、首相府の発表によると、KL中心部の土地は、〇八年に一平方フィート当たり九百三十リンギット(RM)(一RM約二十五円)だった価格が、昨年末に一千四百~一千五百RMまで上昇している。「政府は認めないが明らかにバブル状態に向かいつつある」(在KL日系企業幹部)のだ。  マレーシアの不動産価格は近年上昇傾向を続けており、〇八年にそれまでの販売数・価格総額ともに過去最高をつけて以・・・