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WORLD

ビンラディン死後のアルカーイダ

各地のテロは何者の仕業か

2012年2月号

 イラクでは、昨年末の米軍完全撤退を待っていたかのようにアルカーイダの犯行とされる爆発事件が頻発、シーア派住民、巡礼者、そして政府・治安当局者が犠牲となっている。今年に入ってからだけでも爆発は、バグダッド、南部のナシリヤ、バスラ等で相次いで発生、死者は百人を超え、数百人が負傷している。また、アサド政権に対する抗議行動が内戦の様相を呈している隣国シリアでも、車両に仕掛けられた爆弾の連続爆破で治安警察の多数が死傷した。真偽のほどは別として、シリア政府はアルカーイダを指弾している。  更に大きな動きとしては、米軍の無人偵察爆撃機の攻撃が奏功しているはずのイエメンで、一月中旬、アルカーイダ系武装メンバーが中部の町ラダアを攻撃、占拠し、「イスラム国家」を宣言した。これら以外にもアルジェリアや南レバノンなど、アラブ世界各地でアルカーイダの名前を冠した爆発や武装襲撃が起きている。

米国権益の手先となり果てる

 オサマ・ビンラディン亡き今、世界はアルカーイダの脅威をどのように捉えたらよいのだろうか。アラブ・イスラム世界で起きているこのような動きとは対照的に、欧米や世界的・・・