「金融立国」英国の深まる孤立
「租税回避地問題」で批判高まる
2012年2月号
「シティの過剰な利益追求姿勢にブレーキをかける」
英国のデービッド・キャメロン首相は最近こう発言している。欧州を脅かす経済不安のなかで、独仏に代表される大陸各国から向けられる批判をかわすのが目的だ。
財政規律条約でも独自の道を選んだ英国は、金融立国としての在り方自体を批判されている。
「その象徴がタックス・ヘイブン(租税回避地)の問題であり、独仏など他国との摩擦の火種だ」
ロンドンのジャーナリストはこう指摘する。
欧州危機が一つの山場を迎えていた昨年十一月の仏カンヌ・サミット(G20)において、サルコジ仏大統領は「タックス・ヘイブンが欧州危機の大きな原因となっている」と批判している。ギリシャやイタリアなどの財政赤字問題とは別に、投機的ファンドの巨額資金によるマネーゲームが債券市場はもちろん、ユーロをも脅かしているのだ。また、独仏に代表されるユーロ圏の欧州各国は、英国の自分勝手な振る舞いに辟易している。