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WORLD

ホルムズ海峡「危機」の真相

「表と裏」で戦うイラン

2012年2月号

 イランの核開発問題には二面ある。一つは国の生存を賭けても核兵器を手にしようとする国と、絶対にそれを阻止しようとする国々が国際社会の暗闇の中で展開している諜報、謀略、暗殺など常人の想像を超えた世界の争いだ。もう一つは公然と軍事力、経済力、外交力などを使って互いに相手の意思を挫こうとする戦いである。昨年十一月八日に国際原子力機関(IAEA)が具体的な証拠を挙げて、イランが核兵器に使用される高性能爆薬実験施設で核開発の作業を続けていることを暴いたのを契機に、舞台は動いた。  昨年十二月末に米国が対イラン金融制裁措置を明らかにしたのに続いて、欧州連合(EU)も今年の一月二十三日に、かつてみられなかった強い対イラン制裁措置を打ち出した。イラン経済を支えてきた原油の取引に強烈なブレーキが掛かったのである。「そのような挙に出ればホルムズ海峡を封鎖する」と米、EU側を牽制していたイランは、実施された制裁措置ならびにホルムズ海峡からペルシャ湾に入った米空母「エイブラハム・リンカーン」と英仏両国の軍事力の前に当面は屈服した。イランの天敵ともいうべきサウジアラビアは当然ながら米、EUと共同歩調をとり・・・