東北で広がる「被災者間格差」
復興支援策からこぼれ落ちる不幸
2012年1月号
仙台市若林区の、あるパチンコ店は震災後、客の入りがいい。三月十一日の地震発生直後に沿岸部を襲った津波では、内陸に二キロ以上入った店のすぐ近くまで水が押し寄せた。三月中は後片付けなどに追われたものの、再開後、客は以前より増えた。男性店員の一人が語る。
「それまでの常連とは違う人が来るようになった。若林や宮城野の仮設住宅から来ている客もいる」
パチンコ業界関係者によれば、宮城、岩手、福島三県の震災後のパチンコ各店の売り上げは、総じて増加しているという。また、宮城、岩手の場合、海岸に近いながらも、津波による深刻なダメージを免れた店では、震災発生前比一五〇%に増加したという店もある。
東京電力管内では三月の震災発生後から電力逼迫の影響を受けて営業時間短縮の動きが広がった。特に東京都では、石原慎太郎知事による「パチンコ批判」の影響もあり、夏の節電時期には輪番休業も実施していた。その一方で、被災地の店の客足は伸びていたのだ。宮城県の郊外型店では、平日であろうが早い時間から駐車場が満杯になる光景も珍しくない。