巨大な「不良資産」にもがくNTT
「組織再編論」が再び俎上に
2012年1月号
年の瀬の十二月十五日、東京・大手町にあるNTTグループの司令塔、NTT持ち株会社に衝撃が走った。同日の日本経済新聞電子版が、ライバルであるKDDIの田中孝司社長のインタビュー記事をトップで掲載、その中で田中社長が「現状はそれぞれのサービスがばらばらになっているが、全部一緒につなげるようにする」と話したからだ。
持ち株会社幹部は「すぐにKDDIのサービスについて調べろ」と現場に指令を飛ばした。二〇一一年十一月にKDDIが米アップルの人気スマートフォン「ⅰPhone」の発売を開始して以来、「ⅰPhone販売で取り残されたNTTグループはKDDIの動向に神経質になっている」(関係者)という。だが持ち株会社幹部の焦りはそれだけが理由ではない。
その先には、近年の無線通信の隆盛が招く光通信事業の地盤沈下、それに伴い、世界最大規模の光回線ネットワークが膨大な不良資産となってNTTの経営圧迫要因になりかねない「恐怖のシナリオ」がちらついているのだ。