中央三井信託の営業にご用心
「メガ信託」の先行きに暗雲
2012年1月号
欧州諸国の財政危機に端を発した金融危機が世界に拡散し始めている。しかも、相対的に瑕が浅いとみられたわが国経済にも、歴史的な円高進行による輸出産業への大打撃はいうまでもないが、ネガティブ・イシューは決してそれだけではない。実は現在、水面下で銀行業界にも極めて「憂慮すべき事態」が進行しており、信頼性が揺らぎかねない経営上の脅威として、各行の心胆を寒からしめている。
その実情をあるメガバンク行員はこう説明する。
「最近、良好な決算を続けているが、内実は火の車。貸し出しが伸びず、手数料ビジネスで糊口をしのいでいる」
しかも、この手数料ビジネスが危うさを秘めていることは、過去にも悪質な投信販売や外為予約の前取り型手数料ビジネスなどの荒稼ぎで部分的に露呈していた。実は、今、そんなビジネスの餌食となって資産を大きく目減りさせた顧客層の怒りが爆発寸前にまで達しており、方々で「訴訟沙汰」が表面化してきているのだ。
なかでも、ひときわ、販売姿勢の悪質性が糾弾されているのが中央三井信託銀行のケースである。住友信託銀行との経営統合の直前において発覚した同事件は、今年四月に正式発・・・