《企業研究》 日本生命保険
座して死を待つガリバー
2012年1月号
東京電力、オリンパスにPIIGS――。これが今、日本生命保険の喉に突き刺さる「三つの小骨」(事情通)と言われている。
「中長期的な視点から保有しており、(株価急落などの)一時的な事象でただちにポジションを落とすことは考えていない」。二〇一一年三月に発生した東電福島第一原子力発電所の重大事故。その処理と被害者への損害賠償負担に喘ぐ東電に対して多額の投資を抱えながらも、筒井義信社長ら日生首脳陣は一貫して、こう表明し続けてきた。
日生が保有する東電株は五千二百八十万株。発行済み株式総数の三・二%に当たり、現時点では第一生命保険に次ぐ第二位の大株主だ。仮に東電が破綻して保有株が紙くずと化せば、本来なら少なからぬ痛手を被るに違いない。にもかかわらず半ば達観していられるのは、一一年三月期ですでに東電株の減損処理をほぼ終えてしまったからか。日生関係者によれば、日生が同期に計上したとされる東電株関連の評価損はおよそ一千億円。「今後保有株が全部棄損する事態に陥ったとしても新たな損失はほとんど生じない」(日生幹部)見通しだ。
「日本経済の大株主」とあがめられて
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