東電「火力発電所売却」の舞台裏
経産省との蜜月関係に微妙な亀裂
2012年1月号
福島第一原子力発電所事故で火の車となった東京電力が、ついに発電所の売却へと動き始めた。去る十二月九日、東京電力が経営合理化に向けて発表した「改革推進のアクションプラン(実行計画)」で、火力発電所の売却検討を打ち出したのだ。東電が検討しているのは百万キロワット級の火力発電所の売却で、これにより身を削る姿勢を世間にアピールしつつ、家庭向け料金値上げへの反発を抑え込む狙いだ。
東電内部では電源開発(Jパワー)など身内の間で発電所を回す「ウルトラC」を画策しているが、ここにきて売却先に東京ガスの名も浮上している。この東ガスへの売却を後押ししているのが、ほかならぬ経済産業省だ。一部ではかつての同省が画策していた電力会社とガス会社の統合構想、いわゆる「ガス&パワー構想」の布石との見方まで出ている。東電が資金不足で追い詰められる中、徐々に浮き彫りになる経産省と東電の思惑の違いが、両者の間に微妙な亀裂を生み出しているのだろうか。