「前途多難」小売り各社のインド進出
イオンやセブンに勝算なし
2012年1月号
「この決断は、インドにとって大きな進歩となる。地方や中小企業を活性化し、一千万人の新たな雇用を生み出すだろう」
「複数ブランドによる一般小売業への外国直接投資(FDI)開放」を閣議決定した翌日の十一月二十五日、シャルマ商工相は記者団にこう述べた。インドは、一九九七年に卸売業を開放、二〇〇六年に単一ブランドの専門小売業について出資比率上限五一%に緩和し、残る「(複数ブランドの)一般小売業の開放」が待たれていた。中国に遅れること二十年、ついに十二憶人の小売市場の開放か―長年ロビー活動を展開してきた米ウォルマートやインド進出を狙う世界中の小売り大手が色めきたった。しかし、その歓喜の瞬間はすでに過去のものとなりつつある。規制緩和どころか、大きな後退さえも見せ始めており、インド進出に前のめりとなるイオン、セブン&アイ・ホールディングス、ローソン等、日系小売り各社にとっても多難の前途が待ち受けている。