日本自動車産業も「落日」の危機
戦略の失敗で優位性失う
2012年1月号
繊維、造船、半導体、鉄鋼、エレクトロニクス――。日本がかつて世界トップに立ちながら、優位性を失った産業分野だ。繊維や造船のように労働集約的で、追い上げる国に譲らざるを得ない産業もあるが、半導体以下は日本が今もトップの座を保っていてもおかしくない。戦略の失敗と事業遂行能力の低さで優位性を失った。今、その敗者の列に自動車産業が加わりかねない瀬戸際にきている。
トヨタ自動車が十二月九日に発表した二〇一二年三月期の業績見通し。販売台数の予想は半年前の予想より二十二万台減の七百三十八万台に引き下げられた。売上高は八月時点の見通しより八千億円、営業利益では二千五百億円のマイナスだ。〇八~一〇年の三年連続で販売台数世界トップのトヨタの営業利益はわずか二千億円まで落ち込む。トヨタ関係者からは「東日本大震災、タイ大洪水のダブルパンチを受けても赤字でないだけまし」との言い訳めいた声が漏れるが、〇八年三月期の営業利益二兆二千七百億円と比較すればトヨタの落日は否定しようがない。