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政治

《土着権力の研究》 宮崎県 県家畜改良事業団

「畜産王国」を牛耳る利権団体

2012年1月号

 


 昨年十一月、二〇一〇年に猛威をふるった宮崎県の口蹄疫騒動をめぐり、新事実が明らかになった。「みやざき・市民オンブズマン」の野中公彦氏が、宮崎県に対し請求してきた口蹄疫に関する行政文書と写真の情報が開示されたのだ。公開文書には、一〇年四月二十日の感染発表から二カ月以上も遡る二月十五日の段階で、口蹄疫の疑いがある牛が県の出先機関である「家畜保健衛生所(家保)」に届けられていた事実が示されていた。

「しかし家保は、牛の検体を『動物衛生研究所(動衛研)』に送って口蹄疫か否かを明確にするという当然の手続きを踏まず、なぜか我流の方法で口蹄疫を否定した。防疫指針に反する職務放棄としか言いようがない」(野中氏)

 同じく公開された「病性診断成績書」(四月二十一日付)には、「原因究明には至りませんでした」と指摘した次の行に、「今後とも口蹄疫を疑う症例を確認された場合は、家畜保健衛生所への速やかな通報をよろしくお願いします」と記されているが、これには地元の獣医師も「口蹄疫の感染拡大を懸念しながら検体を動衛研に送らな・・・