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WORLD

新興国「成長幻想」の終焉

世界経済は「厳冬期」に突入

2012年1月号

 二〇一二年、世界経済は厳冬期に突入しかねない。二十一世紀に入って、世界の成長を牽引してきた中国、インド、ブラジルなど新興国の景気が失速し、新興国需要を追い風にしてきた先進国経済も浮力を失うからだ。低賃金と巨大な人口、地下資源しか強みのない新興国、政権政党が選挙に勝つことしか考えず、財政規律を失った先進国の経済は一一年、ユーロ圏でまず馬脚を現した。中国市場の常軌を逸した急膨張、資源ブームなどの熱狂のなかで見落とされてきた新興国リスクが噴出、世界経済は宴の後始末を迫られつつある。  世界経済の実態は、個々の事象を分析するだけではみえてこない。中国浙江省温州市の工場倒産の嵐、米ウォールストリートを騒がせる格差是正デモ、ギリシャ、イタリアはじめ欧州各国の債務危機、インド、ブラジル、インドネシアなど新興国の通貨急落︱。それらはばらばらに起きている現象にみえて、実は同根だからだ。

変調の原因は「グローバリゼーション」

 一一年秋から顕在化し始めた世界経済の急激な落ち込みは〇八年九月のリーマンショックを上回ろうとしている。中国の成長率は一〇年の一〇・・・・