パキスタン政権は「崩壊」へ秒読み
「静かなる軍事クーデター」が進行
2012年1月号
昨年、米国との関係を悪化させたパキスタンの行方に暗雲が立ち込めている。形の上で国政の主導権を握るのは民政政権だが、二〇一三年に実施予定の総選挙、大統領選挙まで持ちこたえられないとの観測が強まっているためだ。それどころかザルダリ大統領・ギラニ首相の現政権は「崩壊秒読み」(現地記者)という。代わって、イスラム急進派や反米勢力による新政権が発足するとみられているが、「実権を掌握するのは軍」(パキスタン軍に近い筋)だ。軍はすでに民政政権を骨抜きにする手を着々と打ち始めている。一二年は、パキスタンで事実上の「静かなる軍事クーデター」が遂行される年になりかねない情勢だ。