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パキスタン政権は「崩壊」へ秒読み

「静かなる軍事クーデター」が進行

2012年1月号

 昨年、米国との関係を悪化させたパキスタンの行方に暗雲が立ち込めている。形の上で国政の主導権を握るのは民政政権だが、二〇一三年に実施予定の総選挙、大統領選挙まで持ちこたえられないとの観測が強まっているためだ。それどころかザルダリ大統領・ギラニ首相の現政権は「崩壊秒読み」(現地記者)という。代わって、イスラム急進派や反米勢力による新政権が発足するとみられているが、「実権を掌握するのは軍」(パキスタン軍に近い筋)だ。軍はすでに民政政権を骨抜きにする手を着々と打ち始めている。一二年は、パキスタンで事実上の「静かなる軍事クーデター」が遂行される年になりかねない情勢だ。

「大統領は売国奴」

 興味深い出来事が一一年十二月十六日に起きた。パキスタン軍トップのキアニ陸軍参謀長が夕方、ラワルピンディの軍参謀本部を車で出発し、十数キロ離れた首都イスラマバードの首相府にギラニ首相を訪ねた。会談は三時間半にも及び、参謀長の移動経路の警備に当たる軍兵士はその間、幹線道路沿いなどに配置されたままとなった。「一体何事なのか。ついに軍事クーデターが起きたのか」――。多くの住民がそう感じたと・・・