躍進トルコの二人の「立役者」
「盟友であり敵でもある」首相と大統領
2012年1月号
トルコにとって、この十年はまさに飛躍の時期だった。経済危機を脱し、一人当たりの国民総所得(GNI)は三倍増に。国際舞台では「ネオ・オスマン主義」と評される全方位外交で周辺国への影響力を強め、地域大国として足場を固めた。成長の立役者はイスラム系の与党・公正発展党(AKP)を率いるエルドアン首相(五十七歳)であり、同志のギュル大統領(六十一歳)だ。人気・実力とも伯仲する二人の存在は、プーチン首相とメドベージェフ大統領を擁するロシア以上の「双頭体制」といっても過言ではない。実はトルコにとって二〇一二年は、その盟友関係がほころぶ波乱含みの年になるかもしれないのだ。