「米国離れ」進む中南米諸国
新共同体設立に中露の「秋波」
2012年1月号
米国とカナダのアングロサクソン系両国が加盟できない一大広域機構が二〇一一年十二月三日、米州に生まれた。米州三十五カ国から両国を除く三十三カ国が加盟する「ラテンアメリカ(ラ米)・カリブ諸国共同体」(CELAC)で、社会主義国キューバも含まれる。米州には米国が反共同盟として一九四八年に創設した「米州諸国機構」(OAS)があり、キューバを除く三十四カ国が加盟している。米国は六二年にキューバを締め出し、いまだにキューバに体制転換(資本主義回帰)を迫っている。
キューバをLAC(ラ米・カリブ)の仲間として迎えた地域統合機構CELACの発足で、米国が時代遅れの反キューバ政策から抜け出せないことが一層鮮明になった。東西冷戦終結で反共の目的を失った米国は執拗に「反キューバ」を掲げつつ、LAC地域支配の道具としてOASを利用しようとしてきた。
一方LACは「世界最強の米国との唯一の対話機関」としてOASに辛くも関心をつないできた。CELAC誕生でOASの影は一段と薄くなった。米国の覇権能力の衰退とLACの連帯・団結強化が長期的に進めば、OASが埋没する可能性も否めなくなる。