米共和党「大統領候補」劣化の理由
狭量な保守派支持層に問題あり
2012年1月号
今年十一月投票の米大統領選で、共和党が大混迷に陥っている。候補者選びでは、「有力候補」たちの資質の低さが際立ち、暴論と虚言が飛び交う討論会は、世界のメディアから嘲笑されている。共和党内の保守派が主導権を握ったことが背景にあり、誰が候補でも、この党からは建設的な「アメリカの指針」は聞かれそうもない。
一月三日のアイオワ州党員集会で幕開けの候補者選び。通常なら米国のメディアは、本命と対抗の一騎打ちを描こうと、「政策の違い」探しに躍起になる。だが、今回は論戦そっちのけで、失言探しに気を配る。候補者の口から次々と出てくる言葉が、信じがたいものばかりだからだ。
リック・ペリー・テキサス州知事は十一月初旬の討論会で、「大統領になったら、省を三つ廃止する」と大見えを切りながら、三つ目を完全に失念して全米の笑い者になった。ニューハンプシャー州遊説では、「諸君が投票日までに二十一歳になるなら、僕に投票してくれ」と学生に呼び掛けた。米国では十八歳で選挙権を得る。
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