《世界のキーパーソン》李英鎬 (朝鮮人民軍総参謀長)
金正恩体制で軍の掌握を担う
2012年1月号
金正日総書記の死去によって、北朝鮮で一体何が起こるのか。世界は、後継者の金正恩のもとで体制が維持されるかどうかに注目している。年若い三代目の体制で、鍵を握る朝鮮人民軍。その軸となるのが、総参謀長の李英鎬だ。
二〇〇三年以降、平壌防御司令官、総参謀部作戦局副局長、副総参謀長、訓練所参謀長を歴任。金正恩が後継者に選ばれた一〇年の党代表者会で、年配の軍幹部を差し置いて、大将から次帥へ異例の昇進を果たす。北朝鮮軍の次帥約十人のうちで最も若い。
〇九年に総参謀長に抜擢されてからわずか一年七カ月のスピード出世だった。党政治局常務委員・中央軍事委員会副委員長も兼務し、権力序列五位となる。代表者会後の記念撮影では、金総書記と正恩の間に座っており、北朝鮮研究者の関心を集めている。
驚くべき出世の秘密は、その人脈と出自にある。金正恩の後見人である金正日の妹婿、張成沢国防委員会副委員長とは万景台革命学院の同窓だ。李・・・