変貌する国際鉱物資源市場
眠れる大国」カナダが台頭
2011年12月号
鉄鉱石をはじめとする鉱物資源の国際事情に疎い日本のマスコミでは、ほとんど報道されていないが、十一月六日に中国・天津市で開催された「中国国際鉱業大会」において、世界の鉱物資源専門家とBHPビリトンをはじめとした資源メジャーを大きく震撼させる「事件」が起こった。
この大会は、中国が海外で展開する鉱物資源開発推進政策を披露する場であるが、出席したカナダのジョー・オリバー天然資源大臣の発言が、周囲の関心を引いた。「増加を続ける中国の鉱物資源需要を十分に満たすために、カナダは中国との鉱物資源分野における協力関係を強化する」
それに呼応して、中国の国土資源部幹部もカナダでの鉱物資源投資の大幅増額を約束したからだ。これは、「眠れる資源大国」カナダと中国の蜜月関係を象徴するばかりか、国際鉱物資源市場の勢力図を大きく塗り替える可能性を多分に秘めた動きだけに、資源エネルギー関係者にとっての「事件」にほかならない。世界の資源関係者の関心は、カナダを舞台にした資源争奪戦の帰趨に集まっている。