中国にのめり込むトヨタ
「虎の子」技術の流出は不可避
2011年12月号
ついにトヨタ自動車の「虎の子」技術の中国流出が秒読み段階に入った。
二〇一一年十月二十二日、トヨタは中国江蘇省常熟市で「トヨタ自動車研究開発センター(中国)」の定礎式を開いた。ここでトヨタは、ハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)などエコカーの基幹部品を中国メーカーと共同で開発し、現地生産に乗り出す方針をついに明らかにしたのだ。
日本では記録的な大ヒットとなったHV「プリウス」も、中国市場での一〇年販売台数はわずか百台にも満たない大惨敗。しかも中国政府はEV普及に向けての支援策を矢継ぎ早に打ち出しており、HVだけに依存する「一本足打法」のトヨタにとって強烈な逆風となっている。そこで中国車メーカーと共同開発した低価格HVで中国のエコカー市場を席巻する「逆転ホームラン」を狙おうというわけだ。が、早くも社内外からは、この危険な賭けに対して、「トヨタのエコカー戦略は大丈夫か?」との声がやまない。