《企業研究》 日本郵便
現場は大混乱のまま
2011年12月号
政権交代以来、店晒しになってきた郵政改革法案が、今国会でいよいよ審議入りする見通しになった。小泉構造改革のシンボルだった「郵政民営化」。持ち株会社である日本郵政の下に郵便局、郵便事業、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の四事業会社がぶら下がる「五社体制」ができたのが、二〇〇七年十月だ。それからわずか四年。改革法案では、分割民営化の弊害を修正することを大義名分とし、郵便局と郵便事業を日本郵政に統合、その下にゆうちょ銀行とかんぽ生命をぶら下げるという。
政権交代の「一丁目一番地」(国民新党)と位置付ける郵政問題は、繰り返される小手先の民営化形態の議論に始まり、「かんぽの宿売却問題」など常に国民不在の議論が続き、政争の具となり続けてきた。そしてこうした無節操な政治介入の傍らで、野放図な経営が放置された結果、国民の貴重な財産たる物流インフラ機能はいま、取り返しのつかないほど無残に切り刻まれている。
郵便事業会社(鍋倉眞一社長)では九月末、日本通運(ペリカン便)との事業統合を経て発足したJPエキスプレス(JPEX)で拡大し続ける赤字の穴埋めに、四・・・