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WORLD

矛盾が噴出し始めた韓国経済

歴史上前例のない貧富の格差

2011年12月号

「これは革命なんだよ。李明博大統領にも与野党合わせた政治体制にも。韓国国民の生活はますます苦しくなるばかりで、もう抑えきれないほど不満がたまっている」  去る十月二十六日に投開票された韓国の首都ソウル市長選挙で、無所属候補の朴元淳氏が圧勝したことを受け、韓国政界関係者からは、これで来年四月の総選挙と同年十二月の大統領選で“韓国版ジャスミン革命”が起きるかも、との高揚感さえ伝わってくる。  それもそうだろう。朴氏は検事出身だが弁護士になり市民運動家になった異色の経歴を持ち、財閥の世襲人事や不透明な企業統治を強く批判し続けている、財閥には最も恐ろしい存在だ。いわば、このソウル市長選での左翼候補の勝利こそ、国民の怒りの投影なのだ。  これまで経済の好調を謳歌してきた韓国は、政策的な通貨安が輸出産業を促進する傍ら、貧富の格差を拡大させ、国民経済を疲弊させてきた。韓国国内ではそれらの矛盾はこれまで「先進国の仲間入り」の合言葉に覆い隠されてきたが、その政治主導の経済循環が一転して停滞局面に入った今、覆い隠せぬほど拡大した矛盾だけが露呈している。

ウォン安の副作用に苦しむ庶民

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