台湾総統選に手ぐすね引く中国軍内太子党
習近平政権で強まる強硬路線
2011年12月号
「台湾が熱い。どうなるか、本当にわからない」と中国共産党の幹部が、来年一月十四日投票の台湾総統選挙で台湾独立派の蔡英文・民進党主席が勝つ可能性を真顔で案じている。
台湾独立派の民進党に政権交代すれば、中国は台湾に強硬な措置をとらざるをえない。台湾海峡だけではなく東シナ海から南シナ海まで一気に緊迫するのは間違いないが、日本政府にはその認識が薄いことに苛立っていた。
いま中国共産党は胡錦濤政権から習近平政権への権力移行期にある。融和的な対外政策をとってきた胡錦濤国家主席に対して、人民解放軍指導部や共産党保守派には不満が蓄積されている。南シナ海の主権を主張して、米国とぶつかっているのもその表れだ。
もし台湾に独立派政権が生まれれば、軍指導部や保守派は習近平国家副主席を突き上げて強硬路線への転換を図るに違いない。二〇〇五年、江沢民前国家主席が作らせた反国家分裂法によって「台独勢力による国家分裂」を防ぐための武力行使が正当化されている。
習近平副主席は九月、党高級幹部の研修機関である中央党校の開校式で、「アヘン戦争以来の中国の歴史を重点的に学べ」と訓示し、「中国の伝統文化・・・