ミャンマー「民主化」の真意
米中の狭間で「経済発展」に賭ける
2011年12月号
二十年以上にわたって軍政を続けてきたミャンマーが民主化に向け、大きく舵を切りつつある。軍事政権にとって天敵だったアウン・サン・スー・チー氏の自宅軟禁を解除し、テイン・セイン大統領はスー・チー氏との直接対話にも踏み切った。八月以降は政治犯の釈放も段階的に進めている。唐突に訪れた「ミャンマーの春」はアジアの政治、経済情勢を揺さぶりつつある。
振り返れば、ミャンマーの変化のきっかけは昨年十一月に実施された総選挙だった。軍政から民政への移行プロセスと位置付けられたが、スー・チー氏が率いる旧最大野党の国民民主連盟(NLD)が幹部の出馬を認められず、選挙をボイコット。軍事政権を継承する連邦団結発展党(USDP)が圧勝した。一見すれば民主化とはほど遠く、・春・を予感させるものは皆無だった。
だが、新政権発足後、今年三月に就任したセイン大統領は国際社会の予想を覆すように民主化に着手。スー・チー氏との直接会談では「(民主化など)共通の目標に向け協力する」ことで一致した。チュニジア、エジプト、リビアなどの政権打倒につながった「アラブの春」が政権に危機感を与えたのは明らかだが、それ以上に大・・・