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カタールはなぜ目立ちたいのか

「小国」ゆえの巧みな生き残り術

2011年12月号

 カタールは小国である。秋田県ほどの面積に人口約百七十万人はけっして大国でない。面積だけでいえばシンガポールや、隣国バーレーンの十五倍以上で、ルクセンブルクの約五倍の大きさがあるものの、問題は人口に占める国民の割合だ。人口のうち八〇~八五%は永住・または長期滞在の外国人であり、カタール人は三十万人程に過ぎない。  カタールが独立した一九七一年頃に発行された米国の百科事典を引くと「シェイクダム(首長の支配する国)カタールの人口は約六万人」とある。この数字も、英国保護領であった同国に滞在していた多くの外国人を含んだ数字であり、純粋なカタール人の人口は極めて少なく、その半分ぐらい、おそらく三万人以下であっただろう。白い土漠が果てしなく続き、ペルシャ湾のエメラルド色の水と交わる光景はとても美しいが、最高気温五十度近くに達する高温多湿の厳しい気候が、人間の、当たり前の定住生活を拒んでいた。

欧米との強力な同盟関係

 しかし、石油の発見・生産に次いで世界最大の単独天然ガス・ドームが開発されたことで、今やカタールは世界一の富裕国となった。二〇一〇年の一人当たりGDPは・・・