イランの「核開発」は止まらない
「包囲網」は強まるが
2011年12月号
激動の中東で、シーア派大国イランを巡るパワーゲームが始まった。アラブ・スンニ派、イスラエル、米国がいっせいに包囲網を狭め、特にアラブ・スンニ派の盟主であるサウジアラビアは、湾岸産油国、イエメンからシリア、レバノンにまで至る広範囲の地域で、イランと「代理戦争」を展開中だ。イラン国内では、アゼルバイジャン系(トルコ系)、クルド系少数民族の民族運動も勢いづき、イラン政府は国内外で厳しい対応を迫られている。
十一月十二日、テヘラン郊外にあるビドガネフのミサイル基地で大爆発が起こった。最初の爆発が次々と大爆発を誘発する地獄絵のような大惨事で、三十二人が死亡した。中でも、「ミサイル開発の父」とみなされたハッサン・モガダム将軍の死亡は、イラン当局に衝撃を与えた。彼は革命防衛隊のミサイル部隊を創設した功労者で、基地には、イランの看板ミサイル「シャハブ」も配備されていた。
当局は当初、「事故」と伝えたが、米欧諜報筋の間で間もなく「イスラエル主犯」説が浮上した。イスラエル主要紙は諜報機関モサドの関与を示唆する「消息筋」情報を掲載した。イスラエル筋は、「イスラエルは、高性能ウイルス『スタクス・・・