三万人のための情報誌 選択出版

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社会・文化

見直される 薪と炭

森林資源とエネルギー利用の営み

2011年12月号

 炎はなぜこうも人を惹きつけるのだろう。ゆらぎ、揺れ、輝き、大きく小さく、とらえどころがなく、それでいて、確かな温もりを伝えてくる。  人類が火を手に入れたいにしえの時。きっかけは山火事か、落雷か、火山活動か。すべてを奪いつくす危険な業火を飼い慣らし、自在に操れるようになるまでには、長い時を要しただろう。  飼い慣らし、操れる、と思ったのは錯覚だったのかもしれない。未来の火、科学の火ともてはやされた「原子の火」が、いともあっけなく人と地球に牙を剥き、その災いの広さ、深さ、永さに、人は立ちすくんでいる。  制御しなければ、どこまでも突き進んでいく科学技術に対し、人間社会はきちんと理解を共有し、合意を重ねてきたとはいえない。いくつもの文明が、その存立基盤である森林や河川を崩壊させ、自ら滅んでいった歴史をみれば、それもまた人間の業なのだろうか。

不便を楽しむ贅沢

 東日本大震災の後、寒い被災地で夜を照らし、暖めていたのは、瓦礫を燃やす火だった。波で粉砕された家々は、木切れの燃料となって、人々を寒さから守る最後の役割を果たした。明かりの消えた浜では、・・・