「消費増税政局」の見どころ
野田は持ち堪えられるか
2011年12月号
「TPP(環太平洋経済連携協定)に加え、消費税率アップの二つの荷物を背負って今の野田内閣の体力で大丈夫か」―。
ハワイのホノルルで開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)で首相野田佳彦がTPP参加を決めた直後、民主党幹事長輿石東は周辺にこう漏らした。TPPで党を二分する議論の末、ようやく「関係国と協議に入る」との表現で党内を収めた輿石は、消費税率アップの強行は民主党政権崩壊に直結しかねないとの危惧を抱く。
野田は九月のニューヨークでの米大統領オバマとの日米首脳会談で「交渉参加」について事実上の対米公約を表明していた。ところが、帰国した野田は「なるべく早く結論を出す」と述べるだけで、多くの国民には「決断はこれから」との印象を与え続けた。その一方で十月十三日に行った報道各社の内閣記者会所属キャップとのオフレコ懇談では明確に参加の意思を示した。それどころか、「玉虫色決着か」との記者団の問いに「玉虫色はない」とまで言い切っている。この発言を機にメディアは間接話法を使いながら参加を前提にした報道を繰り返した。