《土着権力の研究》長野県 信濃教育会
「教育県」という幻想を守る教師集団
2011年12月号
「信濃教育会が時代にそぐわなくなっている現実を真摯に見つめなくてはならない」
伊那地方の元教師はこう語る。
長野県は古くから「教育県」と呼ばれ、それを自任してきた。歴史を辿れば、江戸時代から域内に寺子屋や私塾が多く、それが明治時代に入り高就学率に?がったという。また、教師が尊敬を集め、結果として、優秀な人材が教師を志すという風土もあった。
そして、長野の教育現場で中心的役割を担ったのが、「信濃教育会」だ。今年四月、新たに「公益社団法人」となった信濃教育会は、ヒラ教師から校長・教頭にいたるまで小中学校の大部分の教師が所属する「職能団体」である。歴史は古く、一八八六(明治十九)年に発足した。「長野県における教育の刷新とその充実を図(る)」(定款第三条)ことを目的とし、主に教職員の職能向上のための事業を行っている。また、独自の「教育研究所」や「生涯学習センター」も運営している。
平均を下回る学力レベル
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