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オバマの大失敗「グリーン・ニューディール」

「不正融資疑惑」が直撃

2011年12月号

 二〇〇八年八月、バラク・オバマ民主党大統領候補(当時)は、ミシガン州の遊説先で、経済復興計画を語った。「グリーン・エネルギーによる雇用や産業を、地球上でもっとも偉大な国で繁栄させるべき」と熱っぽく聴衆に説いた。この政策により、二十年で五百万人の雇用を生み出すことも掲げた。  大統領当選後、これはオバマ政権最大の政策スローガンとなり、七百七十億ドルの予算がついたことはご存じの通り。オバマの「グリーン・ニューディール」だ。  結論から言えば、一連の政策は失敗した。それは最大の目標であった雇用創出を見れば明らかだ。  担当部局である労働省には予算五億ドルが割り当てられ、これが雇用訓練庁の「グリーン・ジョブ創出プログラム」に充当された。しかし、同省長官室の調査によると、今年十月末までに支出されたのは一億六千二百万ドルに過ぎない。十二万五千人に教育訓練を行う想定も、実際にはまだ八千人強に実施されただけだ。さらに、このうち、現在グリーン・エネルギー関連の職に就いている者は僅か一千人余りにとどまる。この「関連」というのが曲者で、中には環境保護庁の監視官や、バスの運転手まで含まれる・・・