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社会・文化

原発事故の解明は日本の責務

船橋洋一(日本再建イニシアティブ財団理事長)

2011年12月号

―原発事故から八カ月以上が経過したが事故調査が一向に進んでいない。

船橋 日本の社会には、今回の原発事故のように国民の生命・財産が脅威に晒される大きな失敗が起きると、そこから教訓を受け継ぐという検証機能と監視機能が決定的に欠けている。政府や企業も何か事が起こるたびに決まって第三者委員会を立ち上げ、形ばかり整えるがほとんど機能しない。なぜなら、そこには独立性がないからだ。皆がもたれ合い、かばい合う。まさに無責任の体系だ。結局、組織とは存続自体が自己目的化していくもので、それを独立的にチェックする機能を育てないと失敗は繰り返される。

―世界中が最も強い関心を持つ事故原因もいまだ明らかではない。
船橋 本当に津波が原因なのか、それとも地震だったのか。また、なぜ水素爆発まで起こしてしまったのか、放射能汚染が拡大してしまったのか、など、事故の真相を徹底して調べなければならない。福島第一と被害を免れた他の原・・・