「熊撃ち」がいなくなった
「公的ハンター」の養成が必要
2011年11月号
心臓の鼓動が聞こえるほどの静寂。わずかな風のそよぎ。足元から伝わる寒気。手にした銃の重さと冷たさ。
やがて、ひそやかな気配とともに、かすかな足音が聞こえ、黒い塊が姿を現す。クマだ。障害物を避け、距離を読み、確実に急所をとらえられる瞬間を待つ。息を整え、静かに引き金を絞る。激しい衝撃音は、あたりを一変させ、森は修羅の場となる。獲物は逃げるのか、打ち倒せたのか、それとも向かってくるのか。緊張が走る。
倒れた生き物の体からは熱い湯気が立ちのぼり、獲物はふう、と最期の息を吐き出して、四肢の力が抜けてゆく。黒い瞳孔がみるみる開き、目はたちまちに光を失う。