続・不養生のすすめ11
死亡につながる「脂肪税」
柴田 博
2011年11月号
わが国の厚生労働大臣が、タバコの税金を上げることにより禁煙のモチベーションを高めたいと発言し、物議をかもしたのは記憶に新しい。喫煙問題に限らず、不自由や罰を与えることにより、保健行動を促進しようとする動きが内外に広まっている。
健康食品関連のいくつかの企業では、BMI(体重・/身長・の二乗)の数値目標を定め、減量できない職員の減俸をしたり、降格させたりといったことも行われている。かつて、首長の音頭でメタボ改善に励んでいた自治体の中年管理職の男性が、ジョギング中に死亡したニュースを記憶されている方も少なくないであろう。
行動科学の分野に「オペラント条件づけ」と呼ばれる手法がある。目的とする行動がうまくいった場合、何らかの報酬を与えることにより、モチベーションを高めていくやり方である。その報酬には達成感というメンタルなものもあるし、動物を飼育する場合には餌を与えるといったやり方をすることは周知のとおりである。
不自由や罰を与えてモチベーションを高めようとするやり方は、無意識・・・