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経済

《企業研究》 関西電力

「原発依存」経営が裏目に

2011年11月号

「3・11」以降、電力業界は操縦士を失った飛行機さながらに迷走を続けている。業界を主導してきた東京電力が「国家管理の民間企業」に堕したためだが、もうひとつ大きな理由がある。東電不在のなかで、電力業界を主導すべき関西電力がリーダーシップをまったく発揮できていないことだ。「関西財界の雄」の座に胡座をかくばかりで、日本全体、さらに世界に視野を広げ、高い志を持つことのなかった・巨大ローカル企業・の限界がエネルギー業界の危急存亡の秋に国民の目に歴然となっている。

 今、電力十社の株式時価総額を見れば、市場の判断力の確かさがよくわかる。福島第一原子力発電所事故を起こし、信用を完全に失墜させた東電は十月二十一日終値時点で四千二百二十六億円まで縮小、四千七百六十二億円の四国電力をも下回っている。今や業界トップは一兆一千四百五億円の時価総額を持つ関電である。だが、中部電力との差はわずかに三十五億円。関電は相次ぐ原発停止で供給力のピンチに立っているとはいえ、中部電は唯一の原発である浜岡原発が政府の要請で無期限停止になっており、経営の受けた打撃は関電の比ではない。にもかかわらず市・・・