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経済

業界も呆れる 金融庁の「機能不全」

発足十年での評価は「お荷物」

2011年11月号

 十年も経てば、サビも出るし、故障も起きる―。金融行政が旧大蔵省から分離し、総理府の下に金融監督庁が設置されたのは一九九八年だった。それから何度かの改正を経て、現行体制の金融庁が発足したのは二〇〇一年のことである。したがって、金融庁は今年、十年目という大きな節目を迎えていることになる。ところが、そんなタイミングで、同庁の評判はというと、それがすこぶる悪いのだ。

不信を買う「二枚舌行政」

 ある大手銀行のトップはこう語る。「旧大蔵省時代の金融行政のほうがよほどマシだった。このままでは、わが国の金融業は滅びるしかない」。  金融庁批判のテンションをあげているのは何も同氏だけではない。とにかく、いい話を聞くことがない。まるで「お荷物」扱いなのだ。象徴的な出来事が日本振興銀行処理の顛末だった。結局、日本振興銀行はイオン銀行による買収が最終決定されたが、その経緯については「日本振興銀行への銀行免許交付のときと同じく不透明極まりない」という声が渦巻いている。 「実は、金融庁はいくつかの銀行に日本振興銀行買収を打診していた。そのときの話は、『とにかく銀行・・・