米国債格下げの悪夢再び
八月以上の規模で世界同時株安か
2011年11月号
「また、バカなことをやってるんだよ。進歩がないのさ、両方とも」 ある米系大手ヘッジファンドのマネジャーはこう呟いた。
あの八月の騒ぎはまだ記憶に新しい。米国の財政健全化問題に関し、オバマ政権と共和党がギリギリまで妥協せず、結局債務上限引き上げの期限当日の八月二日にようやく法制化。米国債デフォルトは危機一髪で回避された。
しかし、度重なる市場の警告に背を向けた代償はあまりにも大きかった。八月五日、スタンダード&プアーズ(S&P)が米国債の格付けを最上位から引き下げた。世界の株式市場はこの決定に即座に反応、その後の一週間で米国株は平均一五%下げた。時価総額でいうと、六百三十億ドルの損失が生まれたことになる。
ところが、この騒ぎが十一月にも再現されそうだというから、
「一体どうなっているのか」との疑問も当然だ。